「当社は完全自社施工で、大手業者よりも安くて良い工事を実現しています！」
私の地元（名古屋周辺）の中小塗装業者のチラシやホームページでよく見かけるフレーズですが、本当に自社施工でありさえすれば、安くて良い工事が安くできるものなのでしょうか？

自社施工とは？

自社施工とは読んで字のごとく、自分の会社で直接工事を行うことです。 仕事だけ受けて実際の工事は下請け業者に依頼するのではなく、自分の会社のスタッフで直接工事を行います。 ですから中間マージン（手数料）などが発生しない分、確かに価格を安くできる可能性は高くなります。

実際に大手のハウスメーカーや工務店などが下請けに仕事を出す場合、少なくとも30％以上の手数料を取っていると言われています。 つまり100万円の工事ですと30万円がマージンということになります。

気をつけなければいけないのが、「自社施工！自社施工！」とアピールしていながら実際には下請けに仕事を丸投げして手数料だけ取っている業者がたくさんいるという事です。 同業者として非常に残念なことですが手抜き工事をする悪質業者がいるのと同じように、このような不誠実な業者がいるというのも事実です。

下請けに出すこと自体が悪いわけではありません

仕事を下請け業者に出すことと、工事を下請けに丸投げにすることでは意味が異なります。 大手業者などが工事を下請け業者に出す場合、その工事内容の指示や管理、品質のチェックはしっかりとその大手業者が行います。 ですから何か問題があった場合にはしっかりとその大手業者が責任を負ってくれるので心配はいりません。

それに対して丸投げとは、手数料だけ取って工事の管理などは一切せず下請け業者まかせにしてしまうことをいいます。 管理もチェックも行われないので、下請け業者がその気になれば手抜き工事や材料のごまかしなど、し放題という状態です。 ですから仕事を下請けに出す業者の工事自体が悪いというわけではないのです。

誠実で信頼できる業者を選ぶ

完全自社施工の業者であろうが下請けに仕事を出す業者だろうが、工事の品質はその業者それぞれの職人の技術や仕事に対する誠実な姿勢があるかによって変わってきます。

ですから自社施工かどうかにこだわるのではなく、まずは誠実で信頼できる業者かどうかを見極めたうえで候補をピックアップし、その次に値段や会社の形態などを踏まえて業者を絞り込んでいくことが大切です。